被ばくピアノ

○被爆ピアノ 

 広島県にも、ピアノが沢山眠っています。広島市は世界で始めて原爆投下された街です。‘93年ころから広島へよく行くようになり、きっと被爆したピアノがあるのではないかと思っていました

ある小学校でコンサートをした時に、いつものように冬眠ピアノの話をしていましたら学校で戦前のグランドピアノがあるが、よかったら利用していただきたい、との事でした。戦前からあるピアノであれば被爆体験をしているに違いない、そんなピアノで平和コンサートをしたい、できれば原爆ドームの前で8月6日に、と思いました。

 さっそく広島の調律師の矢川さんに電話をして引き取って修理をしていただくように依頼しました。

 そして1997年8月5日に原爆ドーム前に被爆ピアノを運び平和コンサートをする事になりました。8月6日は慰霊の日なので、5日にすることになったのです。まあ1日早いですが、とても意味のある事だと思いました。ところが、台風が来たのです。とても残念でしたが自然には勝てません。来年に延ばすことになり中止になりました(翌年98年第1回地球ハーモニーin広島で実現しました)

 次の日、8月6日朝8時15分原爆投下の時間に原爆をテーマに平和美術展が開催されている広島現代美術館で被爆ピアノを使っての平和を祈る演奏ができました。テレビの中継だったので平和への思いが沢山の人に伝えられて、とても嬉しかったです。

 その後、被爆ピアノは矢川さんに預かっていただいています。どこかに寄付をして平和のコンサートをしたいと思っていましたが、なかなか寄贈するのに良い場所が見つけることができなくて預かっていただくのが申し訳ない、と心苦しかったのですが、矢川さんが被爆ピアノを運んで平和コンサートをしてくださっているようで嬉しく思います。

被爆したであろうピアノを演奏する事で沢山のピアニストが平和への思いを持ってくだされば平和の輪が大きな波紋になっていく事でしょう。

 

 


                                       河野康弘、明佳(さやか)共著
 お目覚めピアノでワッハッハ~世界をつなぐ地球ハーモニー(リサイクル文化社)より